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PATを設定する (プールしたアドレスを使用する方法)

想定するネットワーク構成図

ラボ・シナリオで使用するネットワーク構成図
・物理 PC の VirtualBox 上に、PC-A、PC-B、PC-C、PC-D の4つの仮想 PC を構成する。
・PC-A、PC-B、PC-C は物理 PC に標準搭載している LAN ポートを使用するように VirtualBox を設定する。
・物理 PC に USB-LAN 変換ケーブルを1つ接続し、PC-D がそれを使用するように VirtualBox を設定する。
※ ISP から与えられたグローバルアドレスは 200.10.10.8/29 とする。


  1. RT-A をネットワーク構成図に示す通り設定し、RT-B へのデフォルトルートを構成しなさい。
  2. < RT-A >
    Router# conf t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    Router(config)# host RT-A
    RT-A(config)# int f0/0
    RT-A(config-if)# ip add 192.168.1.1 255.255.255.0
    RT-A(config-if)# no shut
    RT-A(config-if)# int f0/1
    RT-A(config-if)# ip add 10.10.10.1 255.255.255.0
    RT-A(config-if)# no shut
    RT-A(config-if)# ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 10.10.10.2
    RT-A(config)# 
    
  3. RT-B をネットワーク構成図に示す通り設定し、200.10.10.8/29 のネットワークへ行くためのスタティックルートを構成しなさい。
  4. < RT-B >
    Router# conf t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    Router(config)# host RT-B
    RT-B(config)# int f0/0
    RT-C(config-if)# ip add 10.10.10.3 255.255.255.0
    RT-B(config-if)# no shut
    RT-B(config-if)# int f0/1
    RT-B(config-if)# ip add 161.14.1.2 255.255.255.0
    RT-B(config-if)# no shut
    RT-B(config-if)# ip route 200.10.10.8 255.255.255.248 10.10.10.1
    RT-B(config)# ^Z
    
  5. 次の情報を基に RT-A で PAT を設定しなさい。
  6. ISP から与えられたアドレスの範囲200.10.10.8/29
    PAT で使用するグローバルアドレス200.10.10.9~200.10.10.10
    プール名INET
    インターネットへの接続を許可するローカルアドレスの範囲192.168.1.0/24
    < RT-A >
    RT-A(config)# access-list 1 permit 192.168.1.0 0.0.0.255    ← 変換するアドレス範囲をアクセスリストにて設定
    RT-A(config)# ip nat pool INET 200.10.10.9 200.10.10.10 netmask 255.255.255.248    ← PAT の設定
    RT-A(config)# ip nat inside source list 1 pool INET overload       ← PAT の設定
    RT-A(config)# int f0/0
    RT-A(config-if)# ip nat inside    ← F0/0 側を内部ネットワークに指定
    RT-A(config-if)# int f0/1
    RT-A(config-if)# ip nat outside   ← F0/1 側を外部ネットワークに指定
    RT-A(config-if)# ^Z
    RT-A#
    
    [プールを使用した PAT の設定手順]
    設定手順およびコマンドは、ダイナミック NAT とほとんど同じです。(overload が付くだけ)

    1. PAT で使用する内部グローバルアドレスの範囲を指定しプール名 (任意) で登録
      ip nat pool [プール名] [開始IPアドレス] [終了IPアドレス] netmask [サブネットマスク]
      または
      ip nat pool [プール名] [開始IPアドレス] [終了IPアドレス] prefix-length [プレフィックス長]
      ここで指定したグローバルアドレスだけが PAT で使用される

    2. 内部グローバルアドレスへの変換を許可する内部ローカルアドレスを指定するためのアクセスリストの設定
      access-list [アクセスリスト番号] permit [送信元IPアドレス] [ワイルドカードマスク]
      ここで指定したローカルアドレスだけがグローバルアドレスに変換してインターネットに接続できる

    3. PAT による変換で使用するアクセスリストとプールを指定
      ip nat inside source list [アクセスリスト番号] pool [プール名] overload

    4. 内部ネットワークの指定
      ip nat inside

    5. 外部ネットワークの指定
      ip nat outside
  7. RT-A で、sh ip nat translations コマンドを実行しなさい。
  8. < RT-A >
    RT-A# sh ip nat translations
    RT-A#
    
  9. PC-A、PC-B、PC-C、PC-D をネットワーク構成図に示す通り設定します。
  10. < PC-A >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 192.168.1.10 255.255.255.0 192.168.1.1
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター イーサネット:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.10
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1
    
    C:\>
    
    < PC-B >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 192.168.1.11 255.255.255.0 192.168.1.1
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター イーサネット:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.11
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1
    
    C:\>
    
    < PC-C >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 192.168.1.12 255.255.255.0 192.168.1.1
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター イーサネット:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.12
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1
    
    C:\>
    
    < PC-D >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 161.14.1.10 255.255.255.0 161.14.1.2
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター ローカル エリア接続:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 161.14.1.10
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 161.14.1.2
    
    C:\>
    
    各 PC から余計なパケットが出て行かないように、ネットワーク周りの設定には気を付けてください。
  11. RT-A で、debug ip nat コマンドを実行しなさい。
  12. < RT-A >
    RT-A# debug ip nat
    IP NAT debugging is on
    RT-A#
    
    debug コマンドで、NAT 変換の動作を確認することができます。
  13. PC-D で Telnet サーバーを構成しなさい。
  14. Windows 8.1 の場合

    [スタート] ボタンを右クリック → [コントロールパネル] → [プログラム] → [Windows の機能の有効化または無効化] の順にクリックし、[Windows の機能] ダイアログボックスで、[Telnet サーバー] のチェックボックスをオンにする。



    次の5つのコマンドを実行する。
     1) sc config tlntsvr start=demand  ← Telnet サーバーサービスを手動で起動できるようにする
     2) net user telnetuser cisco /add  ← Telnet で使用するユーザアカウント telnetuser を作成する (パスワード cisco)
     3) net localgroup telnetclients telnetuser /add  ← telnetuser というユーザアカウントを telnetclients グループに所属させる
     4) tlntadmn config maxconn=5  ← Telnet セッションの同時接続数を最大 5 にする
     5) net start telnet  ← Telnet サーバーサービスを起動する
    C:\> sc config tlntsvr start=demand
    [SC] ChangeServiceConfig SUCCESS
    
    C:\> net user telnetuser cisco /add
    コマンドは正常に終了しました。
    
    
    C:\> net localgroup telnetclients telnetuser /add
    コマンドは正常に終了しました。
    
    C:\> tlntadmn config maxconn=5
    設定が正常に更新されました。
    
    
    C:\> net start telnet
    Telnet サービスを開始します.
    Telnet サービスは正常に開始されました。
    
    C:\>
    
  15. PC-A、PC-B、PC-C から PC-D へ telnet を実行しなさい。
  16. < PC-A >
    C:\> telnet -l telnetuser 161.14.1.10
    
    Microsoft Telnet クライアントへようこそ エスケープ文字は 'CTRL+]' です パスワード情報を インターネット ゾーンのリモート コンピューターに送信しようとし ていますが、この操作は安全でない可能性があります。送信しますか? (y/n): n ← ここは no
    Welcome to Microsoft Telnet Service password: cisco ← 実際には表示はされない
    *=============================================================== Microsoft Telnet Server. *=============================================================== C:\Users\telnetuser>
    < PC-B >
    C:\> telnet -l telnetuser 161.14.1.10
    
    Microsoft Telnet クライアントへようこそ エスケープ文字は 'CTRL+]' です パスワード情報を インターネット ゾーンのリモート コンピューターに送信しようとし ていますが、この操作は安全でない可能性があります。送信しますか? (y/n): n ← ここは no
    Welcome to Microsoft Telnet Service password: cisco ← 実際には表示はされない
    *=============================================================== Microsoft Telnet Server. *=============================================================== C:\Users\telnetuser>
    < PC-C >
    C:\> telnet -l telnetuser 161.14.1.10
    
    Microsoft Telnet クライアントへようこそ エスケープ文字は 'CTRL+]' です パスワード情報を インターネット ゾーンのリモート コンピューターに送信しようとし ていますが、この操作は安全でない可能性があります。送信しますか? (y/n): n ← ここは no
    Welcome to Microsoft Telnet Service password: cisco ← 実際には表示はされない
    *=============================================================== Microsoft Telnet Server. *=============================================================== C:\Users\telnetuser>
  17. RT-A で、sh ip nat translations コマンドを実行しなさい。
  18. < RT-A >
    RT-A# sh ip nat translations
    Pro Inside global      Inside local       Outside local      Outside global
    tcp 200.10.10.9:49159  192.168.1.10:49159 161.14.1.10:23     161.14.1.10:23
    tcp 200.10.10.9:1024   192.168.1.11:49159 161.14.1.10:23     161.14.1.10:23
    tcp 200.10.10.9:49161  192.168.1.12:49161 161.14.1.10:23     161.14.1.10:23
    RT-A#
    
    ダイナミック NAT の時と同様に、内部グローバルアドレスは 200.10.10.9 と 200.10.10.10 の2つを設定しましたが、上記を見て分かるように、PAT では1つのアドレスしか使用していません。内部ホストがもっとたくさんあって、200.10.10.9 で使用できるポート番号を全て使いきった時に、次のアドレスの 200.10.10.10 が使われます。