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直接接続した(connected)ネットワークのみのルータの設定と動作を確認する

想定するネットワーク構成図


ラボ・シナリオで使用するネットワーク構成図
・物理 PC の VirtualBox 上に、PC-A、PC-B の2つの仮想 PC を構成する。
・PC-A は物理 PC に標準搭載している LAN ポートを使用するように VirtualBox を設定する。
・物理 PC に USB-LAN 変換ケーブルを1つ接続し、PC-B がそれを使用するように VirtualBox を設定する。


参考 : VirtualBox のインストールと基本的な使用方法
  1. RT-A の各インターフェイスに、ネットワーク構成図に示す通りIPアドレスを設定し、インターフェイスを有効にしなさい。
  2. < RT-A >
    Router# conf t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    Router(config)# int f0/0
    Router(config-if)# ip add 192.168.1.1 255.255.255.0
    Router(config-if)# no shut
    Router(config-if)# int f0/1
    Router(config-if)# ip add 192.168.2.1 255.255.255.0
    Router(config-if)# no shut
    Router(config-if)# ^Z
    Router#
    
  3. PC-A と PC-B それぞれに、ネットワーク構成図に示す通りIPアドレスとサブネットマスクを設定しなさい。
    ただし、デフォルトゲートウェイは設定しない。
  4. < PC-A >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 192.168.1.10 255.255.255.0
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター イーサネット:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.10
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .:
    
    C:\>
    
    < PC-B >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 192.168.2.10 255.255.255.0
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター イーサネット:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.2.10
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .:
    
    C:\>
    
  5. PC-A から RT-A の F0/0 に対して ping を実行しなさい。
  6. < PC-A >
    C:\> ping 192.168.1.1
    
    192.168.1.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
    192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=255
    192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=255
    192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=255
    192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=255
    
    192.168.1.1 の ping 統計:
        パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
    ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
        最小 = 0ms、最大 = 1ms、平均 = 0ms
    
    C:\>
    
    ping は成功しました。
  7. PC-B から RT-A の F0/1 に対して ping を実行しなさい。
  8. < PC-B >
    C:\> ping 192.168.2.1
    
    192.168.2.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
    192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=255
    192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=255
    192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=255
    192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=255
    
    192.168.2.1 の ping 統計:
        パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
    ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
        最小 = 0ms、最大 = 1ms、平均 = 0ms
    
    C:\>
    
    ping は成功しました。
  9. PC-A から PC-B に対して ping を実行しなさい。
  10. < PC-A >
    C:\> ping 192.168.2.10
    
    192.168.2.10 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
    ping: 転送に失敗しました。一般エラーです。
    ping: 転送に失敗しました。一般エラーです。
    ping: 転送に失敗しました。一般エラーです。
    ping: 転送に失敗しました。一般エラーです。
    
    192.168.2.10 の ping 統計:
        パケット数: 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)、
    
    C:\>
    
    ping は失敗しました。
    何故 ping は失敗するのでしょうか?
    ただし、PC-A、PC-B 双方で ping 着信許可 (または、Windows ファイアウォールの無効化) の設定は行っているものとします。
  11. RT-A から PC-A、PC-B それぞれに ping を実行しなさい。
  12. < RT-A >
    Router# ping 192.168.1.10
    Type escape sequence to abort.
    Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.1.10, timeout is 2 seconds:
    !!!!!
    Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 0/0/1 ms
    Router#
    Router# ping 192.168.2.10
    Type escape sequence to abort.
    Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.2.10, timeout is 2 seconds:
    !!!!!
    Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 0/0/1 ms
    Router#
    
    ping は成功しました。
    各 PC からルータへの ping も、ルータから各 PC への ping も成功しますが、PC 同士の ping は失敗します。


    PC-A - RT-A (F0/0)成功
    RT-A (F0/1) - PC-B成功
    PC-A - PC-B失敗

    RT-A でスタティックルートの設定が必要でしょうか?
    それともダイナミックルーティングの設定が必要でしょうか?

    いいえ、スタティックルートもダイナミックルーティングも、
    ルータが複数台あった場合に必要な設定で、ルータが1台しかない場合は必要ありません。

    では、PC 同士の ping を成功させるためには何が必要でしょうか?

    ネットワーク構成図を見るとわかりますが、192.168.1.0/24 のネットワークと 192.168.2.0/24 のネットワークの2つのネットワークをルータ RT-A で接続しています。つまり、PC-A と PC-B は異なるネットワーク上にあります。



    同一ネットワーク上の機器同士が TCP/IP で通信するには必要ないが、異なるネットワーク上の機器同士が TCP/IP で通信するのに必要なもの、そうデフォルトゲートウェイの設定が必要です。
  13. PC-A にデフォルトゲートウェイを設定しなさい。
  14. < PC-A >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 192.168.1.10 255.255.255.0 192.168.1.1
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター イーサネット:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.10
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1
    
    C:\>
    
    この設定で、PC-A から別ネットワーク宛のパケットは全てデフォルトゲートウェイとして指定された RT-A に送られます。デフォルトゲートウェイの設定は終わりましたので、早速 PC-B 宛に ping を実行しましょう。
  15. PC-A から PC-B に対して ping を実行しなさい。
  16. < PC-A >
    C:\> ping 192.168.2.10
    
    192.168.2.10 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
    要求がタイムアウトしました。
    要求がタイムアウトしました。
    要求がタイムアウトしました。
    要求がタイムアウトしました。
    
    192.168.2.10 の ping 統計:
        パケット数: 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)、
    
    C:\>
    
    またも ping は失敗しました。

    PC-A にデフォルトゲートウェイの設定を行うことにより、PC-B 宛の ICMP パケット (エコー要求) は RT-A に送られ、その ICMP パケットを RT-A は PC-B 宛に送ります。PC-B は受け取った ICMP パケットの返事 (エコー応答) を PC-A に返さなければいけないのですが、PC-B にとっても PC-A は別ネットワーク上のホストです。そのため、PC-B は PC-A 宛のパケットを RT-A に送らなくてはいけません。そのためには PC-B にもデフォルトゲートウェイの設定が必要になります。
  17. PC-B にデフォルトゲートウェイを設定しなさい。
  18. < PC-B >
    C:\> netsh interface ipv4 set address "イーサネット" static 192.168.2.10 255.255.255.0 192.168.2.1
    
    C:\> ipconfig
    
    Windows IP 構成
    
    イーサネット アダプター イーサネット:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.2.10
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.2.1
    
    C:\>
    
  19. PC-B から PC-A に対して ping を実行しなさい。
  20. < PC-B >
    C:\> ping 192.168.1.10
    
    192.168.1.10 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
    192.168.1.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =5ms TTL=127
    192.168.1.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=127
    192.168.1.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=127
    192.168.1.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=127
    
    192.168.1.10 の ping 統計:
        パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
    ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
        最小 = 1ms、最大 = 5ms、平均 = 2ms
    
    C:\>
    
    今回は ping が成功しました。
    念のため、PC-A からも ping を行ってみましょう。
  21. PC-A から PC-B に対して ping を実行しなさい。
  22. < PC-A >
    C:\> ping 192.168.2.10
    
    192.168.2.10 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
    192.168.2.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =3ms TTL=127
    192.168.2.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=127
    192.168.2.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=127
    192.168.2.10 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=127
    
    192.168.2.10 の ping 統計:
        パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
    ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
        最小 = 1ms、最大 = 3ms、平均 = 1ms
    
    C:\>
    
    当然ながら ping は成功します。

    ルータの設定は各インターフェイスにIPアドレスを設定し有効化しただけで、それ以外は設定していません。その設定だけで、PC-A から受け取ったパケットを PC-B 宛に送ります。これは、RT-A の F0/0 インターフェイスで受け取ったパケットを、F0/1 インターフェイスにルーティングしたことになります。

    では何故、F0/0 で受け取ったパケットを、F0/1 にルーティングしたのでしょうか?

  23. RT-A のルーティングテーブルを表示させなさい。
  24. < RT-A >
    Router# show ip route
    Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
           D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
           N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
           E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
           i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
           ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
           o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
           + - replicated route, % - next hop override
    
    Gateway of last resort is not set
    
          192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
    C        192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0  ← 直接接続されたネットワーク
    L        192.168.1.1/32 is directly connected, FastEthernet0/0
          192.168.2.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
    C        192.168.2.0/24 is directly connected, FastEthernet0/1  ← 直接接続されたネットワーク
    L        192.168.2.1/32 is directly connected, FastEthernet0/1
    Router#
    
    「Gateway of last resort is not set」から下の行のうち、先頭に「C」の文字がある行が RT-A のルーティングテーブルの特定のネットワークへのルート情報になります。 先頭の「C」は「connected」を意味し、RT-A に「直接接続されたネットワーク」を示します。

    つまり、次の行は、FastEthernet0/0 には 192.168.1.0/24 のネットワークが接続されているということです。
    C        192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0
    
    これは、FastEthernet0/0 にIPアドレス 192.168.1.1/24 を設定し、インターフェイスを有効化したことで、ルーティングテーブルに自動的に作られます。IPアドレス 192.168.1.1/24 は、192.168.1.0/24 のネットワークのアドレスです。

    先頭「L」の行は、Cisco ルータでは IOS 15.0 以降に追加されたもので、ホストルート (/32 マスク) を示し、自分のインターフェイスに設定しているIPアドレスが表示されます。IOS 12.4 までの show ip route は以下のように表示されていました。
    Router# sh ip route
    Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
           D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
           N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
           E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
           i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
           ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
           o - ODR, P - periodic downloaded static route
    
    Gateway of last resort is not set
    
    C    192.168.0.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0  ← 直接接続されたネットワーク
    C    192.168.2.0/24 is directly connected, FastEthernet0/1  ← 直接接続されたネットワーク
    Router#
    
    では、FastEthernet0/0 インターフェイスを無効化して、ルーティングテーブルがどうかわるか確認しましょう。
  25. F0/0 インターフェイスを無効にしなさい。
  26. < RT-A >
    Router# conf t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    Router(config)# int f0/0
    Router(config-if)# shut
    Router(config-if)# ^Z
    Router#
    
  27. RT-A のルーティングテーブルを表示させなさい。
  28. < RT-A >
    Router# show ip route
    Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
           D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
           N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
           E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
           i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
           ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
           o - ODR, P - periodic downloaded static route, + - replicated route
    
    Gateway of last resort is not set
    
          192.168.2.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
    C        192.168.2.0/24 is directly connected, FastEthernet0/1
    L        192.168.2.1/32 is directly connected, FastEthernet0/1
    Router#
    
    ルーティングテーブルから「C 192.168.1.0/24 ・・・」の行が消えました。

    ルータは自身のルーティングテーブル (下記の場合) を見て、ルータが受け取ったパケットが「192.168.1.0/24」ネットワーク宛なら、そのパケットを FastEthernet0/0 インターフェイスから送出し、「192.168.2.0/24」ネットワーク宛なら、そのパケットを FastEthernet0/1 インターフェイスから送出します。
    C        192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0
    C        192.168.2.0/24 is directly connected, FastEthernet0/1
    
    もし「C 192.168.1.0/24 ・・・」の行がなければ、ルータが 192.168.1.0/24 のネットワーク宛てのパケットを受け取っても、そのパケットをどのインターフェイスから送出すればいいかわかりません。ルータはどのインターフェイスでパケットを受信したかは関係なく、受信パケットの送出先をルーティングテーブルで調べ送出します。