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EIGRPのFD、ADを計算する

※ 前の「シナリオ」の続きとして記載しています。
ネットワーク構成図

    このシナリオでは、FD と AD の計算をします。

  1. RT-A のトポロジーテーブルを表示させなさい。
  2. < RT-A >
    RT-A# sh ip eigrp topology
    EIGRP-IPv4 Topology Table for AS(1)/ID(172.16.2.1)
    Codes: P - Passive, A - Active, U - Update, Q - Query, R - Reply,
           r - reply Status, s - sia Status
    
    P 172.16.2.0/24, 1 successors, FD is 10511872
            via Connected, Serial0/0/0
    P 172.16.3.0/24, 1 successors, FD is 10514432
            via 172.16.2.2 (10514432/28160), Serial0/0/0
    P 172.16.1.0/24, 1 successors, FD is 28160
            via Connected, FastEthernet0/0
    
    RT-A#
    

    ルートの状態説明
    Pパッシブ収束が完了し利用可能な状態
    AアクティブEIGRP の計算中で利用不可能な状態
    フィージブルディスタンス (FD)送信元(RT-A)から宛先までのメトリック値
    アドバタイズドディスタンス (AD)ネイバー(RT-B)から宛先までのメトリック値
    アドバタイズドディスタンス(AD)は、レポーテッドディスタンス(RD)とも呼ばれます。

    RT-A での sh ip eigrp topology コマンドの出力結果の 172.16.1.0/24 宛てのルートの FD を計算します。
    P 172.16.1.0/24, 1 successors, FD is 28160
    
    RT-A から 172.16.1.0/24 のネットワークに行くには、RT-A の F0/0 インターフェイスから出力します。

  3. RT-A の F0/0 の帯域幅と遅延を調べなさい。
  4. < RT-A >
    RT-A# sh int f0/0 | include BW
      MTU 1500 bytes, BW 100000 Kbit/sec, DLY 100 usec,
    RT-A#
    
    帯域幅 = 10^7/100000 = 100
    遅延 = 100/10 = 10
    したがって、このルートのメトリックは
    EIGRP のメトリック = (100+10)×256 = 28160
    です。これが RT-A から 172.16.1.0/24 のネットワークへのフィージブルディスタンス(FD)の値です。

    RT-A での sh ip eigrp topology コマンドの出力結果の 172.16.2.0/24 宛てのルートの FD を計算します。
    P 172.16.2.0/24, 1 successors, FD is 10511872
    
    RT-A から 172.16.2.0/24 のネットワークに行くには、RT-A の S0/0/0 インターフェイスから出力します。

  5. RT-A の S0/0/0 の帯域幅と遅延を調べなさい。
  6. < RT-A >
    RT-A# sh int s0/0/0 | include BW
      MTU 1500 bytes, BW 256 Kbit/sec, DLY 20000 usec,
    RT-A#
    
    帯域幅 = 10^7/256 = 39062 ← 小数点以下切捨て
    遅延 = 20000/10 = 2000
    したがって、このルートのメトリックは
    EIGRP のメトリック = (39062+2000)×256 = 10511872
    です。これが RT-A から 172.16.2.0/24 のネットワークへのフィージブルディスタンス(FD)の値です。

    RT-A での sh ip eigrp topology コマンドの出力結果の 172.16.3.0/24 宛てのルートの FD と AD を計算します。
    P 172.16.3.0/24, 1 successors, FD is 10514432
            via 172.16.2.2 (10514432/28160), Serial0/0/0
                               FD     AD
    
    RT-A から 172.16.3.0/24 のネットワークに行くには、RT-A の S0/0/0 インターフェイスから出力します。

  7. RT-A の S0/0/0 の帯域幅と遅延を調べなさい。
  8. < RT-A >
    RT-A# sh int s0/0/0 | include BW
      MTU 1500 bytes, BW 256 Kbit/sec, DLY 20000 usec,
    RT-A#
    
  9. RT-B の F0/0 の帯域幅と遅延を調べなさい。
  10. < RT-B >
    RT-B# sh int f0/0 | include BW
      MTU 1500 bytes, BW 100000 Kbit/sec, DLY 100 usec,
    RT-B#
    
    「BW 100000 Kbit」よりも「BW 256 Kbit」の方が小さいので、最少帯域幅は「BW 256 Kbit」になります。
    遅延は「DLY 20000 usec」と「DLY 100 usec」の合計です。
    帯域幅 = 10^7/256 = 39062 ← 小数点以下切捨て
    遅延 = (20000+100)/10 = 2010
    したがって、このルートのメトリックは
    EIGRP のメトリック = (39062+2010)×256 = 10514432
    です。これが RT-A から 172.16.3.0/24 のネットワークへのフィージブルディスタンス(FD)の値です。

    アドバタイズドディスタンス(AD)は、RT-A にとってのネイバーである RT-B から 172.16.3.0/24 のネットワークまでのメトリックですので、RT-B の F0/0 の帯域幅と遅延から
    帯域幅 = 10^7/100000 = 100
    遅延 = 100/10 = 10
    となり、このルートの AD は
    AD = (100+10)×256 = 28160
    となります。

    これが FD と AD の計算方法です。